中世から続く「かやぶき屋根」のパブ「The Old Thatch」の魅力と、その知られざる歴史!

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こんにちは★Maroonです。

今日はアイルランドでも最も古いパブのひとつ「The Old Thatch」の魅力と、その知られざる歴史について紹介したいと思います。このパプはなんと中世にまでその起源を遡ることができるんです!ちなみにこのパブはレストランとしても営業しており、私が良くひとりでお茶を飲むために使用している「隠れ家的なカフェレストラン」でもあります★

 

 

目次

The Old Thatchとは何?

そのまま直訳すると「古い茅葺」(かやぶき)となります。アイルランド南部では、この「かやぶき屋根」の家を見ることはほとんどありませんが、西部に住んでいたころはたまに見かけました。日本の「かやぶき屋根」もそうですが、メインテナンスコストがかかりすぎるのが、少なくなってきている理由と言われています。

 

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そんな貴重な「かやぶき屋根」のパブ・レストランです。天然素材を使用した丸みのある屋根は、見ているだけで、なんだか癒されます。突き出ている煙突は今は薪ストーブの煙を出すために使われています。この写真は中庭の方向から撮ったもの。

 

 

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こちらがレストランの入り口です。裏玄関にあたります。通りに面している表玄関はパプ専用の入り口なので、レストランに入るためには、こちらを使用する必要があります。最近換えたばかりの「かやぶき屋根」の一部分が周りとは違い色になっているのが分かります。最初はすべてこの明るいイエローカーのような色だったんですね。

 

 

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室内から見た茅葺屋根の様子。日本の「かやぶき屋根」の家屋と違って「囲炉裏」がないので、どうやって防虫やカビ除けをしているのかは不明ですが、良くお手入れが行き届いています。日本の場合は「囲炉裏」の煙を蔓延させて、防虫しているそうです。

 

 

The Old Thatchの知られざる歴史

 

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The Old Thatch must be one of the oldest licensed premises in Ireland. At Castlemartyr Quarter sessions in 1867 the then owner of the premises, John Conway applied for a renewal of his licence. It was refused on the grounds that the premises were being used to harbour. He stated in his submission that his house had been licences for over two hundred years without complaint. Nevertheless, the presiding magistrate withheld the licence. The present owners the Sweeney family can trace ownership as far back as the mid 1700′s.(この英文は上の写真のお店からいただいたチラシから文字を起こしたものです。)

 

以下は私がGoogle翻訳を元に作成した訳文です。

The Old Thatchアイルランドで最も古い免許のある建物の一つでなければなりません。 1867年のCastlemartyr Quarter会議では、当時のオーナーであるJohn Conwayがライセンスの更新を申請しました。 その申請は、オーナーがこの建物にフェニアン(フェニアン蜂起の反逆者)を匿うために使用されていたという理由で拒否されました。 彼は提出書に、彼の家は「苦情なしで200年以上ライセンスを持っていた」と述べました。 それにもかかわらず、裁判長は免許証の更新を控えていた。 現在の所有者であるSweeneyファミリーは、1700年代半ばほどに所有権を遡ることができます。

 

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日本人の私は「このパブがフェニアンを匿っていた家」だと聞いても、何のことかピンと来ないのですが、アイルランド人なら、「フェニアン」という言葉を聞いた時にそれが何のことを指しているか、一発で分かるそうです。それくらい誇り高きアイルランド独立の「英雄たち」として、人々のこころに刻み込まれているからではないでしょうか。

 

ちなみに、日本で蜂起を起こしたら大抵は「反逆者」扱いでおしまいですね。「平将門」「藤原純友」「明智光秀」「天草四郎」いずれの方々もカリスマ的な支持を人々から得ていたにも関わらず、教科書に「英雄」として載ることはありませんでした。彼らの蜂起も「アイルランドの独立」のように成功していれば、「英雄」として扱われていたかもしれませんね。

 

そういった意味においてアイルランドは「反逆者」を「英霊」として祀る世界でも珍しい国です。下の記事を読んでいただくと、それがどういうことかお分かりいただけるかと思います。

 

www.independent.ie

 

The Old Thatchの魅力「ぬくもりを感じさせるインテリア」

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10月に入ってから久しぶりに行ったら、薪ストーブに火が灯っていました。とても寒い朝だったので、嬉しかったです。ストーヴの周りの石も温められて、そこからぬくもりが伝わってきます。

 

 

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実際に使われているかどうかは分かりませんが、中央がハートマークになっている可愛いストーヴフォーク。手作り感が漂います。こんなストーヴフォークは今まで見たことがありません。もしかしたら、アンティーク物かもしれませんね。間接照明も年代を感じさせるデザインです。こんな空間で書き物をしていたら、良い作品が書けそうです。

 

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割と結構揃っているワインたち。壁のデコレーションが可愛いです。ここでお会計をすませるのですが、いつもマネージャーさんがすぐに飛んできてくれます。左手奥はお手洗いになっています。パブとは別々のトイレになっており、いつもキレイに掃除されています。全てが木のぬくもりを感じさせる心地よい空間です!

 

The Old Thatchの魅力「モダンアートとアンティーク」

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こんなアンティークな空間に混じって、モダンなワイヤーアートを発見。漆喰っぽい白い壁に良く似合っています。

 

 

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こちらは「Spinning Jenny」と呼ばれている糸を紡ぐ機械。かなりの年代物のようです。これが中央に配しているだけで、全体の空間がまるで博物館になったかのような感じがします。まさに「燻し銀の存在感」をかもし出しています。

 

 

The Old Thatchの魅力「雲の動きによって表情を変える静謐な空間」

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アイルランドは「雲の流れ」が速いことで有名です。そのため空の表情や窓から差し込む遮光の様子も変わりやすいのです。この建物は窓が多いので、光がくるくると回ります。これは私が以前築200年ほどの「お化け屋敷」に住んでいた時に学んだことなのですが、アイルランドの昔の建物はやたらと窓が多いようです。

 

 

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光の方向性がが間逆になっているのが分かります。こんな静謐な空間で、読書を楽しんだり書き物をしたりするのも良いですね。秋冬の朝はあまり混んでいないので、好きなことをするのにはもってこいです。

 

 

The Old Thatchの魅力「庭のテーブル席と清らかな小川」

 

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天気の良い夏の日は、外のガーデンで食事やお茶を楽しむことができます。この写真は夏に行った時に撮影したものです。川や森のすぐお隣なので、空気もおいしく、心身ともに「浄化」される感じがします。

 

 

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行くたびに毎回見入ってしまう清らかな川。濁っていることはあまりなく、いつも透明です。この川は今週、別な記事で紹介した「Glenbower Wood」という森が源流になっています。人工林が多いアイルランドですが、この辺りは「天然の森の生気」を感じさせます。

 

blog-ireland.hatenablog.com

 

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Glenbower Wood」は地図で見る以上に深い森で、川を登ってゆくとさらに、奥にいくつか森が点在しています。慣れていない旅行者はあまり奥深くまで入らないことをオススメします。

 

 

The Old Thatchのおすすめのメニュー

 

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こちらは、お店の自慢の手作りスコーンにホイップ・クリームが添えられたもの。たまに同じ料金で2個でてくることもあります。そのあたりのアバウトさがアイリッシュっぽくて私は好きです。干しぶどうの味とホイップ・クリームの味が品よく混じりあいます。だいぶ前に注文したので忘れてしまいましたが、大体2.5ユーロぐらいだったと記憶しています。

 

この巨大なスコーンは上から半分に切って食べるんだそうです。ブラックカラントのジャムも添えられています。ブラックカラントはアイルランドではその辺の道端でも見つけることができるくらい、よく見かける植物の実です。ブルーベリーを少し香り高くしたような不思議な味がします。私の旦那さんも秋にはこれで良くジャムを作っていました。

 

 

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朝食メニューもいくつかあって、その中から選べます。私が注文したのは、ミニ・アイリッシュ・ブレックファースト(6.5ユーロぐらい)。こんなにたくさんあって、トーストも付いているのに、ミニサイズだそうです。普段から「体が小さいわりには結構食べるね」と旦那さんから良く言われる私でも、ちょうど良い量でした。

 

目玉焼きはポーチドエッグのような柔らかい食感で、中は半熟。生卵を食べる習慣がなく卵でお腹を壊しやすいアイルランドで半熟卵をお客に出せるのは、新鮮な卵を使用している証拠です。ハーブの味がさわやかに効いている白ソーセージと白プディングは、塩分控えめでとてもまろやかな味です。ブラックプディングも表面はカリッとしていますが、中は柔らかく、もちもち感とプチプチ感がとても美味しいと思いました!

 

 

 

 お店の情報・アクセス

The Old Thatch Pub & Restaurant 
Address: Main St, Killeagh Gardens, Killeagh, Co. Cork
時間:10時~23時
ウェブサイト:http://theoldthatch.ie/
 
コーク方面から、車で40分。40または260の「ウォーターフォード行き」のバスに乗り、Killeaghで下車、徒歩3分。
ヨール/ウォーターフォード方面から車で10分。40または260の「コーク行き」のバスに乗り、Killeaghで下車、徒歩3分。
 
 

 

おわりに

今回は中世の時代から、歴史と人々を見つめつづけてきたアンティークなパプレストランを紹介しました。お気に入りの場所なので、思わず5000文字も書いてしまいました。長くなってしまいましたが、最後まで読んでくださいましてありがとうございました。

 

このレストランの川を挟んでお隣は、以前別な記事でも紹介した、「ちょっと風変わりな」面白いアートギャラリー(Greywood Arts)になっています。コンセプチュアル・アートに興味のある方はぜひオススメです。↓

 

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